劇場版『ONE PIECE FILM RED』に登場するウタに関してまとめたページです。その他の記事は『ONE PIECEまとめ』から閲覧できます。
ウタウタの実の能力
ウタウタの実は、歌うことで歌を聞いた人を仮想世界(夢の世界)へ導く能力があります。
その能力は非常に広範囲なもので、ライブ会場に来ていた麦わらの一味やハートの海賊団、一般市民、さらには映像電伝虫を通してライブを楽しんでいた人たちをも導くほど。
ウタウタの実の能力について何も知識がなければ、自分が夢の世界に導かれたと気づくことすらできません。
世界政府は存在を危険視しており、サイファーポールや海軍大将2人を使って全力でウタを捕えようとしていました。ものの数時間で世界の人口の約7割がウタの作る夢の世界に閉じ込められる計算だったので無理もありません。
また、夢の世界におけるウタウタの実の能力者はほぼ無敵に近く、ウタウタの実を食べたウタによってオーブンやブリュレ、麦わら一味は手が出せないままやられてしまっています。
夢の世界に導かれた人々の肉体は現実世界で眠った状態となっており、ウタはそんな眠った状態である人々の肉体を支配しています。そのため、自由に操ることも可能。生かすも殺すも彼女次第です。
劇中では眠ったルフィがいとも容易く、彼女によってナイフで胸を貫かれる寸前でした。ただし、夢の世界を構築し続けるのにも限界があり、ウタウタの実の能力者が眠ることで夢の世界は消滅し、夢の世界に導かれた人は現実世界に帰って来れます。
しかしながら夢の世界にいる状態でウタウタの実の能力者が現実世界で死に絶えると、夢の世界から出ることは一生できなくなります。
死亡理由
ウタが死亡した理由は、ネズキノコを食べたためです。ネズキノコは食べ続けると眠れなくなるキノコであり、食べた者は数時間後に死に至ります。
ホンゴウが作ってくれた薬をシャンクスが、これを飲めばまだ助かると言ってウタに差し出しますが彼女はこれを拒否。
夢の世界に閉じ込められているルフィたちやファンを救い出すため歌を歌うことにし、薬を飲まなかったウタはそのままシャンクスの腕の中で息を引き取りました。
死亡根拠
ウタの生死について色々と情報を整理していると、彼女が亡くなったとしか思えない根拠がいくつも出てきます。逆に生きている伏線が何一つ見つからないといった状態です。
根拠①:薬を飲まなかった
シャンクスはホンゴウから薬の入った水筒を受け取り、これを飲めばまだ助かるとウタに言っていました。つまり、この薬を飲まなければ死んでしまうといった裏返しの意味として捉えることができます。
しかしウタはまだ夢の世界に捕らわれているルフィたちを助けるため、シャンクスの手を払いのけてしまいたね。薬を飲まず、血を吐きながらも『世界のつづき』を歌い始めました。
根拠②:新時代をルフィに託す
ルフィの夢の中。ウタと2人で会話する場面があります。いつものようにウタはルフィをからかう一方で、麦わら帽子をルフィに被せ、いつかこれがもっと似合う男になるんだぞ!と言って去って行くのです。
ルフィの表情は見えませんでしたが、筆者はここでウタが自分はもう死んでしまうから、新時代を麦わら帽子とともにルフィに託したのではないかと感じました。
もしウタが死なないのであれば、もっとルフィが明るい表情で帽子を受け取る描写にしても良いはずです。覚醒(ニカ)した影響で疲れ切っていたからと、考えられなくもないですが……。
根拠③:『風のゆくえ』の歌詞
ウタが幼少期の頃から歌っていた『風のゆくえ』。この『風のゆくえ』の歌詞の一節に注目です。
私が消え去っても 歌は響き渡る
秦 基博 /トオミ ヨウ『風のゆくえ』
意味深ですね~。
最後の最後、力尽きる寸前にウタが歌ったことから、死を確定させる根拠としても十分です。
根拠④:巻四十億
映画『ONE PIECE FILM RED』の入場特典としてもらえる40億巻には、ウタの経歴について10ページほど書かれています。
その中に劇中で使われる歌曲の一覧があり、『風のゆくえ』の箇所に「死にゆくウタ」と、やはり最後にはウタの死を設定していたことが分かるのです。
根拠⑤:劇中ラスト
ウタは死んじゃったのか……と、最も分かりやすく描かれているのが劇中のラストです。全体的に暗い雰囲気の中、ルフィがサニー号の甲板で目を覚まし、レッド・フォース号が遠ざかっていく姿が見えていました。
レッド・フォース号の甲板には赤髪海賊団が何かを囲うように立っていましたが、囲っていたのはどう見ても棺桶です。物語の流れからして棺桶に入れられているのは、ウタ。
もし普段のルフィなら声を上げてシャンクスたちにお礼を言うはずですが、レッド・フォース号の甲板にいる赤髪海賊団と棺桶を見て、何も発しませんでした。このようなラストであったことから、ウタは死亡したという確信に至れます。
根拠⑥:魔王という名
劇中のラスボス・魔王。音楽と魔王で思いつくのは、フランツ・シューベルトが手掛けた歌曲『魔王』です。
この『魔王』には語り手のほかに父親と子供、魔王が登場します。子供は息子ですが、最後の歌詞がどこからどう考えても、シャンクスがウタを抱きかかえるシーンそのものなのです。
父親の腕の中で子供は死んでいた
フランツ・シューベルト『魔王』
確実に尾田先生はクラシック曲の『魔王』を参考に「魔王」という名前をつけています。これが偶然である確率は皆無に等しいと言えるでしょう。
根拠⑦:ノベライズ
『ONE PIECE FILM RED』はノベライズされており、小説でも楽しむことが可能です。
そして、そんな小説版『ONE PIECE FILM RED』の終盤のページに下記の地の文があります。
ルフィは少しほほ笑んでから、グッと悲しみをこらえる表情になった。
ノベライズ版『ONE PIECE FILM RED』
ウタは助からなかったのだろう。
でも、家族のもとに帰ることはできた。
家族とは、シャンクスら赤髪海賊団のことです。
ウタは最期まで安堵に包まれ、穏やかな気持ちで歌い続けた。
————————————————————————————
ルフィは唇を結び、海風に髪をなぶられるがまま、大海原をじっと見つめた。
ライトノベル版『ONE PIECE FILM RED』
レッド・フォース号にいるシャンクスも、ウタの眠る棺に背を向け、行く手に広がる海に視線を送る。
これらの文章から、ウタがまだ生きているとは到底考えられません。間違いなく息を引き取ったと確信できます。
生きている可能性
映画『ONE PIECE FILM RED』は、時系列に少しばかり矛盾がありビッグマムやペロスペローが登場しています。ジンベエが麦わらの一味に加入していることから、和の国後の話で間違いはなさそうです。
したがって、今作は正史ではなくパラレルワールドの物語とするのが腑に落ちなくもないですが、いずれにしてもウタが生きている可能性は考えにくい……。
あまりにも死を確信させる根拠が揃い過ぎているため、筆者も生きていてほしいと信じたいものの、叶わぬ思いかもしれません。ただウタの視点からすれば、ウタ自身は肉体の死を死とは捉えておらず、精神が死んでいなければ生きているという価値観の持ち主です。
そのため、現実世界で死んではいるとしても、夢の世界で楽しく過ごしている可能性だって考えられます。
もしかすると次にウタウタの実の能力者となった人物によって、ルフィたちをウタのいる夢の世界に導いてくれる——なんて展開があっても良いですよね。尾田先生、お願いします!!!