基本情報
概要
ダイジンは映画『すずめの戸締まり』に登場するキャラクター。鈴芽と草太の前に現れた白い猫で、正体は日本の西でミミズの尻尾を封じていた要石です。
何も知らずに引っこ抜いてしまった鈴芽に自由の身にしてもらい、餌までもらったうえに「うちの子になる?」と言われて本気で鈴芽の子になろうとします。
草太をすずめの椅子に変えた張本人であり、そのときに要石としての役割も草太へ勝手に譲渡。以降、自由に日本全国を歩き回りSNSやテレビで話題になっては鈴芽と草太を翻弄し続けます。
容姿
人の両手に収まる小ささ。全身は白い毛で覆われており、顔の面積の半分以上を占めているであろう大きな黄色の目が特徴的です。左目の周りのみ黒くなっており、サダイジンとは真反対のデザインとなっています。
チャームポイントの大きな両目は、夜だと懐中電灯のように明るく光ったり暗くしたりすることが可能です。とはいえ光るのは目の周りだけなので、懐中電灯の代用として周辺を照らせるほど便利ではありません。高所から鈴芽が落ちたときには人を包めるぐらいの大きさへと姿を変化させ、自分の身を挺して彼女を守りました。
鈴芽から「うちの子になる?」「ありがとう」などポジティブな言葉をかけられると健康的な姿となり、反対に「大っ嫌い」といったネガティブな言葉を浴びせられると、今にでも死にそうな生気のない萎れた姿となります。
由来
初代内閣総理大臣・伊藤博文のような、かつて存在した左右にまで伸びる白い髭を生やした大臣に似ているという理由から来ています。SNSで「#ダイジンといっしょ」と共に白猫(要石)の写真がたくさん投稿され始め、作中でダイジンと呼ばれるようになりました。
ぱっと見ただけでは髭なんて生えていないように見えますが、ダイジンの両頬にふんわりとした3段の突起のようなものが出ており、それがまさに髭です。ダイジン自身も気に入ったのか、自分のことをダイジンと名乗っています。
声優
子役の山根あん。幼児番組「パニパニパイナ!2 シーズン2」のポリア役として出演しており、アニメーション声優での出演は初となります。
劇中での行動
日本各地
後ろ戸の開いた土地に現れることもあれば、何気ない場所で鈴芽たちの前に現れることもあります。要石の役目という苦しい仕事から解放され、まるで旅行を楽しんでいる人のように見えなくもありません。
ルミの経営するスナック「はぁばぁ」では、お客の中に紛れ込み鈴芽には白猫の姿で見えていたものの、他の人たちには人間に見えていたようです。人としてのダイジンは一体どんな見た目をしているのだろう。
常世
あれだけ要石に戻ることを拒んでいたダイジンですが、再び草太から要石の役割を継ぎ、自らの意思で要石へと戻りました。そして最後は鈴芽に鈴芽の手で元に戻してとお願いし、草太と息を合わせてミミズを封印してもらいます。
劇中での目的
鈴芽の子になる
一番の目的は鈴芽の子になることです。ダイジンは鈴芽の何気なく発した「うちの子になる?」という言葉を信じ、本気で鈴芽の子になろうとします。何度か登場した旅の道中では「遊ぼ」と言って鈴芽と遊びたそうにしていたり鈴芽についてきたりと、幼い人間の子供や猫が親に見せる姿にそっくりです。
人類を滅ぼす
ダイジンが鈴芽たちの前に初めて現れた際、ブラック企業で働く社員のごとく憔悴しきった顔をしていました。要石にも人と同じく意思があることが分かり、何十年から何百年に渡り1人で役目を果し続けるのはかなり精神をすり減る作業に他ならないのでしょう。
鈴芽にご飯を与えてもらい、うちの子になる?と言われて元気を取り戻しますが、自分がミミズを抑えているから人々は災害に見舞われず暮らしていけるにもかかわらず、あろうことか皆に忘れられ廃墟に放置された状態です。ダイジンは言わば神様でもあるため、神に対する信仰心を忘れたそんな愚かな人類など鈴芽を除いて滅んでも良いと思っていても可笑しくありません。
現に鈴芽には感謝しているため後ろ戸のある場所へ案内する手助けはするも、肝心のミミズを止めようとはしておらず、願わくばミミズが現世に出て災いをもたし人類を滅ぼしてくれることを待ち望んているかのように見て取れます。
可哀想な理由
とにかく鈴芽から冷たく雑な扱いを受けており、最後も大好きな鈴芽の子になる夢よりも鈴芽を想って要石に戻る道を選択するという救われない結末だったことが理由です。
例えるなら親のことが大好きな子供が、いつまで経っても親から愛情を注がれず、見向きもされぬまま吹雪が吹く極寒の中に置き去りにされて死に絶えるようなもの。
また、序盤から中盤まで鈴芽はダイジンを「あんた」と呼んでいますが、ダイジンが実は後ろ戸に案内してくれていることに気付いて感謝した後の終盤では「お前」と呼び方が変わっています。序盤や中盤よりも見下している感が否めません。
鈴芽が軽くうちの子になる?なんて言わなければ、ダイジンは彼女の発言を真に受けることもなかったはずです。もし『すずめの戸締まり』がダイジンを主人公とした物語だった場合、どう見てもバッドエンドで幕を閉じます。